部品ピッキング管理の概要と特徴

部品をピッキングして製品の組立ラインなどに供給する場合、製品ごとにどんな部品を使うか、いくつ使うか、そしてその部品が倉庫や部品棚のどこに保管されているかを把握しておく必要があります。色違い程度の類似した構造の製品を大量に生産するようなケースであれば、比較的に容易にそれらを把握して、部品ピッキング作業を行うことも可能かもしれません。しかし、多種多様な製品を、しかも小ロットで生産するような場合、あるいは部品の種類が多く、保管場所も分散しているような場合、必要な部品のピッキングにはかなりの製品知識や作業習熟が要求されます。本アプリケーションは、「在庫のフリーロケーション管理」を前提とした部品の入庫やピッキング(出庫)、ライン供給作業をサポートするためのデータベースアプリケーションです。

本アプリケーションは、製品の部品構成情報、生産計画、部品の在庫情報を元に、その製品の生産に必要な部品を、どこからいくつピッキング・供給すればよいかを作業者に指示します。もちろん、在庫情報も逐一メンテナンスする必要はありません。作業に合わせて入出庫データを入力することによって、保管場所別に自動更新されます。部品コードや保管場所コードのバーコード票の印刷機能も備えており、市販のバーコードリーダー(インラインキーボードタイプまたはUSBタイプのもの)を用意することによって、直ちにバーコードによる入出庫データの入力や在庫管理を実現できます。さらに本アプリケーションでは、持ち運び可能なバーコードハンディターミナルを使って、部品の入出庫データを収集したり、ターミナルの画面でピッキング指示を受けたりすることもできますので(製品版のみ、キーエンス社製対応)、作業に不慣れな人でも簡単に部品ピッキング作業を行うことができます。

本アプリケーションは、次のような特徴を持っています。

  • 各製品で使われる部品と製品1ケ当りの使用数量、生産計画、部品の入出庫情報から自動生成される在庫情報をあらかじめ登録しておくことによって、次に生産される製品に必要な部品のピッキング・供給指示を行うことができます。

  • 部品ピッキング指示書を印刷しますので、作業者はそれにしたがって、指定場所から指定部品を指定数量品揃えするだけで、正確な部品ピッキングが可能となります。

  • 部品ピッキング指示書を印刷すると、在庫から引き当てられなかった在庫不足部品の一覧表も同時に出力されます。これによって、生産前に、部品の在庫が十分あるかをチェックすることができます。
    また、さらに先の生産計画についても、在庫引き当てをチェックし、不足が予想される日付や部品を在庫アラート画面でチェックすることもできます。

  • ピッキング指示データは、持ち運び可能なバーコードハンディターミナルに転送することもできます。これによって、ターミナルの画面を確認しながら所定の部品をピッキングすることができます。さらに部品コードのチェック機能によって、誤った部品のピッキングを即座にチェックすることができます。(ソース公開版のみ、キーエンス社製のBT-1000用サンプルプログラム付き)

  • ピッキング指示に対する出庫の作業を簡便にするため、画面上で製品一括出庫(在庫引き落し)登録を行うことができます。これによって、実際の部品の出庫登録を行わなくても、すべてのピッキング指示が実行されたこととして在庫を引き落とすことができます。

  • 部品の入出庫データやマスタデータさえ正しく登録しておけば、部品のピッキングや供給を行う作業者は、部品構成や在庫情報をまったく知る必要がありません。これによって、作業者の素人工化にも役立てることができます。

  • T'sFactoryシリーズの『部品表管理』または『所要量計算』、および『日程管理』アプリケーションと併用することによって、現場では部品構成や生産計画などを入力する必要がなくなります。このデータの共有によって、より効率的な業務運用が可能となります。

  • ピッキング指示や在庫管理の対象とする部品や保管場所の情報をマスタ登録しておくことによって、コードを入力するだけでそれらの情報を簡単に呼び出すことができます。さらに、それらの「コード」を付属機能によってバーコード票として印刷、現品や現場に貼り付けたり添付したりすることによって、固定式のバーコードリーダーや可搬式のバーコードハンディターミナルを使った効率的な入出庫データの入力や棚卸データの入力が簡単に実現できます。

  • 保管場所と部品の2つをキーとして在庫管理を行います。それによって、どこに何がいくつあるか、簡単に把握することができます。

  • 現在の在庫明細の一覧は、さまざまな角度で抽出したり並べ替えたりすることができます。例えば、特定の保管場所にある部品を一覧表示したり、さまざまな保管場所に分散している特定部品の在庫を一覧表示したりすることができます。また、保管場所順や部品順に並べ替えて一覧表示することもできます。

  • 現在の在庫明細は、3種類の形式で一覧表として印刷することができます。「保管場所別在庫一覧表」、「部品別在庫一覧表」、「部品別在庫集計表」の3種類を使い分けることによって、さまざまな面から在庫状況をチェックすることができます。

  • 実地棚卸作業の際には、"どこに何がいくつある"という理論上の在庫一覧を印刷しておくことによって、現品照合作業を効率的に進めることができます。

  • 実地棚卸によって得られた正確な実在庫数量は、データ上の理論在庫数量と対比しながら入力していくことができます。差異分析も可能です。また、入力された実地棚卸数量は、ボタン1つで、データベース上のすべての保管場所・部品の在庫情報に反映させることができます。

  • いくつかのマスタデータについては、外部のCSVファイルからインポートすることができます。CSVファイルの内容に連動させて、マスタの更新・追加・削除が可能です。

  • すべての帳票はプレビューすることができます。実際に印刷する前に、そのイメージを確認することができます。

  • 本アプリケーションは、Microsoft Accessで作られています。Accessがあらかじめ持っているさまざまなデータ操作機能(コピー、貼り付け、検索、置換、並べ替え、フィルタなど)をそのまま利用することができます。

  • データベース容量として、最大2GBまでの情報を1つのファイルとして扱うことができます。その範囲であれば、登録件数は無制限、また運用方法やカスタマイズによってはファイルサイズも事実上無制限です。

  • データベースをネットワーク上の複数のパソコンから共有することができます(※パソコン台数分のライセンスが必要)。

  • 保存されたデータは、他のT'sFactoryシリーズのアプリケーションと共有することができます。

  • Accessの知識があれば、画面や帳票、機能を自由にカスタマイズすることが可能です(※ソース公開版の購入が必要)。